20代になって改めて鑑賞するおジャ魔女どれみが面白すぎる【魔女見習いをさがして】

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はじめに

然だが、みなさんはおジャ魔女どれみをご存知だろうか?
『おジャ魔女どれみ』は、東映アニメーションが約15年ぶりに制作した、オリジナル魔法少女アニメ作品。版権上、原作は東堂いづみになっており、コミック・ゲームなどメディアミックス展開した。いわば子供向けコンテンツである。
今日では東映アニメーションでは『おジャ魔女どれみ』の後より放送され、人気を博している『プリキュア』という知らない人はいない人気シリーズがある。その類だ。

ではなぜ改めて『おジャ魔女どれみ』が巷で話題になっているのかというと、

©東映・東映アニメーション

おジャ魔女どれみ20周年記念作品として、映画『魔女見習いをさがして』が11月13日より全国の映画館で公開されているからだ。
東映といえばプリキュアシリーズデジモンシリーズでも度々昔を懐かしんだ懐古作品が制作される印象を受ける。
だがしかし、おジャ魔女どれみ20周年に世に放たれた作品はこれまでの東映作品とは少々毛色が違う。
それもそのはず、本作のメインビジュアルには「おジャ魔女どれみ」のファンには馴染みのない謎の3人がメインに居る。
長瀬ソラ吉月ミレ川谷レイカというキャラクターだ。
本作のおジャ魔女どれみ達の位置付けは、私達が普段認知している『おジャ魔女どれみ』と同じで、アニメ上の空想上のキャラクターという設定。
つまり、ソラ、ミレ、レイカの3人は、当時おジャ魔女を観て育った20代の我々の等身大であり、20代の3人が20代ゆえの悩みを抱えている頃、小さかった時に好きだった『おジャ魔女どれみ』を通して、改めて人生を見つめ直すというメタストーリーである。

改めて鑑賞する「おジャ魔女どれみ」

映画『魔女見習いをさがして』が公開するにあたり、私のように当時おジャ魔女を観ていたが記憶は曖昧という方も多いはず。
オープニングの特徴的な曲は覚えているが、話の一つ一つを明確に記憶しているとは言い難い。
なので、映画公開にあたり今回はAmazonプライムにて一話目から再度鑑賞をすることに。

©東映・東映アニメーション

早速、第一話を鑑賞したのだが、お世辞抜きに面白い!!

あらすじ
風どれみは魔女にあこがれる小学校の3年生の元気な女の子。でも好きな人に告白もできない自称「世界一不幸な美少女」。マジョリカを魔女と見破ったことがきっかけで、魔女見習いとして修行をすることになったどれみ。さっそく魔法を試すものの、様々なトラブルを引き起こしてしまう。

感想
雑感としては大筋はギャグ寄りのアニメーションという印象が強く、昨今のプリキュアのようなものをイメージしていたので良い意味で裏切られたとも言える。笑
その後、第二話第三話と見進めていくと、おジャ魔女シリーズに隠された人気の秘密が徐々に明らかになってくる。
ずは登場人物の多様性、

©東映・東映アニメーション

(画像左から順に、藤原はづき春風どれみ妹尾あいこ

1999年に制作された作品とは思えないほどおジャ魔女達の人物背景が幅広く設定されている。
まずは藤原はづきだが、成績優秀常に冷静だが、お嬢様育ちのせいで、少々おっとりしていてトボケた所がある。電車の座席の座る場所を決めていたりと、ヘンなところで頑固な面を持つ。両親が、面倒見が良すぎるので、自分を表現できないでいる。魔法で叶えたい願いは、母親に「イヤ」なものは「イヤ」と言えるようになること。
お人形娘らしからぬ、典型的な親に支配されているタイプの家庭の子だ。
親の描いた理想の娘像に翻弄され、はづき自身の優しさで親を悲しませまいと自分の気持ちに蓋をする場面が度々見受けられる。この藤原はづきというキャラクターの置かれている境遇は、子供達への共感性だけでなく、一緒に鑑賞している親をもハッとさせる部分が多く盛り込まれている。
一方、藤原はづきと対照的なのが主人公とも云える春風どれみである。
好奇心旺盛、そのクセ恐がりの小学3年生。ちょっとドジで、おせっかいだが、困っている人を見ると放っておけない性格なので、でしゃばる度に騒ぎを大きくしてしまう。好きな男の子に告白する勇気を出すために魔法を覚えようとする。『私って世界一不幸な美少女だ?!』が口癖。ステーキが大好物。という絵に描いたような主人公属性のキャラクター
先ほどのはづきとは違いどれみは平凡な家庭で育ち、喧騒的な家庭環境の中、はづきの家庭をうらやましく思っている。
第二話では、そんな2人がお互いの普通を羨み、入れ替わる。
はづきはどれみに変身し、どれみははづきに…

©  東映アニメーション

まさに隣の芝生は青いを地で行くストーリーなのだが、過度に説明的ではなく、感覚的に物事を伝えることが他の子供向け作品とは一線を画す。

そして三話目に登場するのが妹尾あいこ
あいこは、大阪育ちでスポーツ万能、姉御肌の元気娘。
家庭では、両親が離婚していて、タクシーの運転手である父親と二人暮し。ナニワっ子らしいしっかりした現実感覚も持ち合わせていて、一人で家事全般をこなしている。シビアな環境に負けまいと人前では涙を見せず、明るく振る舞っている反面、時には夢見がちな一面もある。魔法で両親がもう一度仲良くなったらと思っている。
でこそ離婚は身近な物に感じるが、当時は苗字が変わった子がいればみんなから注目の的だった。
このような子供向け作品での前衛的な設定は、大いに功を成しており、おジャ魔女達にあらゆる設定を組み込むことで、魔法をより身近に感じやすい仕組みがある。

©  東映アニメーション



制作側も妹尾あいこというキャラクターには数多くの設定を作っており、地方育ち転入生片親とすることで、共感の対象幅を広げている。鑑賞している多くの子供達におジャ魔女になれる可能性をあいこが与えたと言っても過言ではない。

一期はそんな個性的な3人がおジャ魔女になることで、様々なトラブルや学校での悩みを解決していくのが本筋となる。
性格や、生い立ち、環境、全てが違う世界で育った3人が、一つの壁を前に様々な角度で物事を解決していくのがなんとも面白いのである。魔女で魔法が使えるとはいえ、おジャ魔女たちの使う魔法はスパイスのようなもの。
他人を想う気持ちにちょっとした魔法を加えることで彼女達の生活は幾分にも輝いていく。

©  東映アニメーション

映画

おジャ魔女たちが個性的なメンバーであり、様々な境遇をもつことで感情移入の幅を広げていることを前述したが、映画『魔女見習いをさがして』の主役3人も同様に様々な境遇を抱えていたり、おジャ魔女というコンテンツへの触れ方もキャラクターによって異なってくる。

長瀬ソラは、愛知県出身の大学4年生。年齢は22歳で、『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』をリアルタイム視聴していた。周りの意見に流されがちで、自分を表現することが得意ではない。教師になる将来の夢を抱いているも…。

吉月ミレは、東京で一流貿易商社に勤めているキャリアウーマン。年齢は27歳、リーダー気質で海外生活が長かったこともあり、思ったことをすぐに口にしてしまいがち。『おジャ魔女どれみ』は日本から送られてくるDVDで視聴していた。

川谷レイカは、広島県出身の20歳のフリーター。『おジャ魔女どれみ』シリーズ放送時は観ておらず、再放送と配信で視聴した。地元・尾道のお好み焼き屋でアルバイトをしながら、絵画修復士になる夢のために、進学費用を貯めている。


と、それぞれ生い立ちから年齢視聴方法までバラバラなのである。これだけの設定を広げてしまえば、共感の可能性もグンと上がり、当時おジャ魔女に慣れ親しんでいた今を過ごす20代にはぶっ刺さりまくりなのである。

そんな映画のメイン3人達が人生の壁を前に、当時のおジャ魔女達の行動を照らし合わせながら、「どれみちゃん達ならこんな時どうするんだろう」と悩みもがく姿は、次第に他人事ではいられなくなってくる。
かつて何かに夢中になったことがある人、大人になった今でもその「好きなこと」を追い続けている人、
そしてそれを「誰かと分かち合える喜び」を知っている全ての人へ贈る、ファンムービーの枠を超えた20代に捧げる勇気溢れるエンターテインメント。そして魔女見習いたちに背中を押され、踏み出した先に、素敵な世界が広がっているに違いない。

©東映・東映アニメーション

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この記事を書いた人

関西を中心に映画観てます。
映画ブログのような存在を目指して細々と運営しようかなと思ってましたが、語彙力のなさと映画観る時間を優先したくて更新のめんどくささに挫折。
気分が向いた時に猿でもわかる内容をモットーに投稿してます

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